「負の連鎖を止める」キャッシュフロー分析の必要性について
「財務三表」(貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/S))のうちC/Sは、金融商品取引法が適用されない多くの中小企業では作成義務がありません。
直近2期分のB/Sと1期分のP/Lの情報があれば作成できるため、顧問税理士が会計システムから出力〜提供して下さるケースもありますが、当社が経営ご支援に従事させて頂く際には、借用する決算書類には含まれていないことも少なくありません。
C/Fは活動の「結果」であり、当面のキャッシュ≒現預金の収支「予測」という点では資金繰り表の方が重要でそれで事足りるのですが、「現預金はどのような原因で増減したのか」という「結果」を把握することは、今後の打ち手を考える上でとても重要です。
確かに資金繰り表を記録していれば、現預金の不足を見越して経費の支払を調整したり、売上増に伴う運転資金の確保のため金融機関に相談する、といったことで手を打つことができます。また、こうした工面の結果「現預金がいくら増減したか」ということは、2期分のB/Sを並べて左上の「現預金」残高を比較するだけで把握することができます。
しかしながら、これだけでは現金増減の「原因」までは把握することができません。
一方、C/Sがあれば「本業でキャッシュを(いくら)稼げたのか」「借入や設備売却で当面をしのいだだけではないのか」といったことを把握するができ、中長期的な改善のため手がかりを得ることができます。
−もっとも、ご支援の現場で抱く実感としては、資金繰り表を作成されている事業者様であれば、C/Sで初めて深刻な問題を発見することは多くはないようです。
むしろ、「資金繰り表やキャッシュフロー分析をする余裕がない」時にこそ、これらの作成が必要なケースが多いと考えられます。
こうした場合、「資金繰りに余裕がない」→「借入や保険料の支払を先延ばししてなんとかやりくりする」→「返済(支払)原資確保のため値下げしてでも売上を確保する(あるいは設備などを売却する)」→「これらに追われて資金繰りを管理する時間がない」→「資金繰りにさらに余裕がなくなる」といった悪循環が生じてしまっているからです。
領収書を揃えるほど経理処理に余裕がなくなると、C/Sの作成・分析を通じて「銀行借入金が代表者貸付金に充当され『続けて』いる」といった実態が見えることもありますが、社長としては(おそらく)そんな心当たりがなく、避けたいところでしょう。
上述したように、C/S自体は直近2期分のB/Sと1期分のP/Lの情報があれば作成することができます。
当社では、超簡易式C/Sの作成を通じた現状把握・分析のご支援も行なっておりますので、「新型コロナウイルス特別貸付の返済開始が迫っている」「補助金を活用した設備投資の是非を判断したい」といったご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。