事業計画の目的

最近、補助金申請や経営改善の事業計画作成のご支援をする機会が増えていますが、この時に思い出すのが、「籠に乗る人 担ぐ人 そのまたわらじを作る人」という、義父の遺品整理をする中で見つけた手帳に綴られていた言葉です。

調べると、元は「箱根山ー」という歌い出しで始まる短歌が起源の諺のようですが、これを知らずとも「世の中には色々な役割の人がいて、自分の役割が果たせるのは他の誰かの役割のおかげである」という意味だということは想像に難くありません。

義父は、頑固そうな表向きからは想像がつかないぐらい家族や周囲への心遣いを欠かさない方で、銀行では支店長を務めながらも早期退職し、その後は郵便局や警備の仕事をしたり、晩年は妻や子供、孫のために料理や工作をして過ごしました。

郵便局ではいつも帰宅する小学生たちに声をかけていたそうで、「毎日見守ってくれてありがとう」と子供達が書いた手紙と郵便局からの感謝状もまた、遺品の中から出てきました。

こうした義父の生前を振り返った時、上の言葉は私により多くの示唆を与えてくれます。

1つは、「色々な役割の人がいる」ということだけでなく「人にはその時々で異なる役割がある」ということ、もう1つは「籠を担ぐ人のために誰かが草鞋を作り、籠に乗る人のために誰かが籠を担ぐのと同じように、籠に乗る人もまた、籠に乗ること自体が目的ではなく、その先にいる誰かのために籠に乗っているのだ」ということです。

いずれも、その時々の異なる役割を全力で演じ、それが常に「目の届く人の幸せのため」に向けられていた義父の生き様と重ねることで、見えてきたものです。

ーさて、話を戻すと、事業計画は当然ながらそれ自体が目的ではありません。その先にある「目指すべき場所に到達するため」あるいは「使命を果たすため」に作るものです。

ところが、特に補助金申請の場合、こうしたことが忘れられてしまうことが少なくないようです。事業再構築補助金の公募要領では、何度も支援者の役割や申請者の責任について言及されていますが、「事業計画の本来の目的の不在」が実態として多いことの表れなのだと感じます。

「経営者様が、事業を通じてどこを目指しているのか」「そのためにどんな役割を果たそうとしているのか」–これを理解するための時間を、当社はヒアリングを通じてしっかりと取らせて頂いております。

もし、「型にハマったアドバイスしかされない」「話を聞かずに計画を作成される」といった不安を感じていらしたり、実際にそのような経験をされていらしたら、ぜひ一度ご相談ください。

まずはお話をお聞きし、現状を整理することからご一緒に始めさせて頂きます。

※事業再構築補助金、ものづくり補助金についてのご相談は当社が執行役員を務めるアアルコンサルティングオフィスへ、それ以外のご相談は当社へお問い合わせいただくとスムーズです。