補助金申請をコンサルタントに相談する時の3つのポイント

事業再構築補助金は、経営革新等認定支援機関とともに事業計画を作成することが申請要件の1つになっています。

良い支援者と出会えることが理想ですが、公募要領では、事業概要の説明に先立って過大な成功報酬を請求する事業者への注意喚起がされており(P.2)、それだけトラブルが多いということなのでしょう。当社にも、公募回数が増えるにつれ「採択後のご相談」が増えているのが現状です。

どのような支援者が関わっているか、については、補助金事務局が公表する「事業再構築補助金 第5回公募の結果について」 (https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/result/koubo_kekka_gaiyou05.pdf )で確認することができます(次図表)。

事務局の分析では、「金融機関」「税理士関係」「商工会・商工会議所」の順番に応募件数が多いとされていますが、もちろん、こうした機関が「過大な報酬を請求する悪質な事業者」ということではないでしょう。

実は、(当社のような)中小企業診断士、民間コンサルティング会社、コンサルタントを「コンサル系事業者」として合計すると、応募件数は金融機関に次いで2番目、採択率では1番目になるのですが(次図表)、上記の分析では触れられていません。

もちろん、「コンサル系事業者」という括りは当社が恣意的に行なったものですが、民間コンサルティング会社の応募件数は単独で見ても信用金庫に次いで3番目であるにもかかわらず、一切触れられていません。こうしたことが、支援者を探そうとする事業者様に間違った誤解や不安を与えないか、気になるところです。

そのため、補助金申請の検討をされている事業者様には、「良い支援者を探すために」次の3つを押さえることをお勧めします。

1責任範囲と報酬が明確か

2活用上の注意点を伝えてくれるか

3補助金獲得がゴールになっていないか 

以下、1つずつご説明いたします。

1責任範囲と報酬が明確か

補助金を検討していることを相談した流れで申請まで支援してくれる方がスムーズですが、有償で依頼する以上、契約は必須です。

支援者の責任範囲や報酬が明確でないまま進めると、申請の段階で「市場分析費」といった名目で高額な報酬を請求されたり、採択後に「当社の支援は申請までです」と言われて採択後の支援は追加で費用がかかる、といったことになりかねません。事業者側から確認するまでもなく、支援者から「責任範囲」と「報酬」を提示してくるかどうか、が良い支援者を見極める1つ目のポイントです。

2活用上の注意点を伝えてくれるか

補助金には様々な制約があります。「設備投資ができるのは、採択後ではなく、補助金申請が承認された後」「見積書、請求書、振込記録など整備する書類が膨大」など、はじめに理解していないと、余計に労力=コストがかかりかねません。

また、「補助金が振り込まれるのは、原則として事業終了後」という点は、補助事業にかかる設備資金、運転資金をどう確保するか、現業を圧迫しないか、といったことも考慮しなければなりません。

こうした、補助金活用上の注意点を説明してくれるかどうか、さらには資金繰りの課題まで確認してくれるかどうか、が良い支援者を見極める2つ目のポイントです。

3補助金獲得がゴールになっていないか 

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最初の2つをクリアする支援候補者が複数いる場合、3つ目のポイントとして、支援者の助言が「補助金獲得がゴールになっていないか」で判断されることをお勧めします。

「補助金獲得がゴールになっていない」というのは、補助金獲得の後、補助事業で収益を獲得することをゴールとしている、ということです。あるいは御社の経営理念の実現をゴールとしている、ということです。

ゴールが遠くなればそこに至るまでの準備も多くなり、留意点も増えるでしょう。最初から全ての課題を把握しておくことも不可能です。

しかし、だからこそ「補助金を取って終わり」ではなく、将来へ向けた課題を一緒に考えてくれているか、伴走して支援してくれる気持ちがあるか、を見極めることをお勧めします。

ちなみに、こちらはものづくり補助金の例ですが、採択率6割を超えるような事業計画を作成するために、多くの事業者様は30時間以上をかけているようです(次図表)。経営革新等認定支援機関の関わりが要件になっている事業再構築補助金では、より練り込んだ事業計画が求められていることが想定され、30時間はむしろ最低ラインであり、より確実な採択のためには40-50時間程度が目安になると当社は考えます。

補助金申請をされる上で、今回の内容がお役に立てば幸いです。